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対談

座談会 九州大学久保総長が聞く‼(第8回) いつまでも元気で働き続けるためのコツは?─55年間も現役で働く二人の先生に聞く─

語る人

原土井病院理事長
原 寛

遠賀中間医師会おんが病院・
おかがき病院統括院長
「臨牀と研究」編集委員
杉町 圭蔵

聞く人

九州大学総長
「臨牀と研究」編集委員
久保 千春

久保
現在,日本は超高齢社会を迎えております。また,疾病構造も,生活習慣病や高齢者疾患,そしてまたストレス関連の病気が増えています。医療技術や治療法は発展していますが,一方,医療費は年々増加し,平成28年度は42兆円を超えているような状況です。
 本日ご出席のお二人は,55年前の昭和38年,九州大学医学部を卒業された同期生でございます。80歳を過ぎても現役で地域医療の責任者として活躍しておられます。地域医療と今後の在り方などについてお話を伺いたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 まず最初に,杉町先生、自己紹介も兼ねて,現在の病院の紹介と状況についてお話しいただけますか。

病院の紹介と地域医療

杉町
私は,現在,遠賀中間医師会の病院に勤めています。遠賀中間医師会には急性期の「おんが病院」と慢性期の「おかがき病院」の二つの病院がありまして,あまり聞きなれない名称ですが,「統括院長」として,この二つの病院のお世話をさせて頂いています。
久保
先生が院長に就任されて努力された結果,病院の運営は非常に改善されたそうですね。
杉町
25年間大きな赤字が続いていた九州中央病院を黒字にしたという実績が評価されたのでしょうか,遠賀中間医師会の会長さんから強引に引っ張られまして,債務超過の遠賀中間医師会病院の面倒を見ることになりました。遠賀中間医師会では,福岡県から赤字が続いた県立遠賀病院の移譲を受けて運営していましたが,移譲後も,前にも増して大きな赤字が続き,経営が行き詰っていました。
 私が赴任して2年で減価償却後,2億円程度の黒字が出るようになりました。株式会社とは異なり黒字を出すのが病院の設立目的ではありませんので,職員にご褒美としてボーナス以外に「決算賞与」「暑気払い」などを出すことができるようになりました。
久保
原先生の病院の紹介と状況についてお話しいただけますか。
私は,東区の土井というところで ─ 今は青葉というのですが,ベッド数556床の原土井病院をしております。それと,原看護専門学校でレギュラーコースと進学コースをやっております。
久保
その556床の内訳は。
一般病床が10床ぐらい,それから地域包括ケア病床が110床,回復期病床が105床ぐらい,残りが療養病床です。それで,患者さんの退院後の行き先に困るものですから,周りに特別養護老人ホーム,老人福祉施設,高齢者マンションなどで500ぐらいございます。
久保
おんが·おかがき病院にはそういう地域支援病床はありますか。
杉町
「おんが病院」は平均在院日数13日と非常に忙しい急性期病院で,「おかがき病院」は,平均在院日数90日という慢性期病院ですから,ここに60床の地域包括ケア病棟と22床のショートステイを作りました。
久保
杉町先生は,九州中央病院から,おんが・おかがき病院に統括院長として移られましたが,前と比べて,今の地域医療の現状というのはどうでしょうか。
杉町
高齢者は家庭環境,健康状態,経済状態などで個人差が大きく,医療や介護のニーズを抱えたまま自宅で独居生活しているケースが増えてきており,各人に合ったきめの細かい医療・介護・生活支援などの包括的ケアが必要です。
 遠賀中間医師会病院に「在宅総合支援センター」「地域総合支援センター」などを新たに作り,車20台余りを購入して,訪間介護・通所リハビリ・重度認知症デイケアなど各種の在宅支援に力を入れています。
久保
原先生の病院ではいかがでしょうか。
うちも地域包括ケア病棟を持っております。地域包括ケアシステムというのは,医療だけではなくて,介護や住居も要る。それから,在宅に行く人には訪問看護とか訪問介護をやるし,医師も要る。そういうものがだんだん増えてきて,食事から住居まで,医食住全体を見なさいというのが今の地域包括ケアシステムです。

地域包括ケアシステム

久保
地域包括ケアシステムというのは,住まい,医療,介護,予防,生活支援が一体的に提供されるということなりますね。それは,おんが·おかがき病院も同じですか。
杉町
はい。在宅支援を円滑に行うには多職種の連携が必須で社会福祉士や介護支援専門員と協力しながら,訪間診療・訪間介護・訪間リハビリ・訪間服薬指導などを行っています。
久保
在宅医療にも力を入れておられるというわけですね。
杉町
はい。お年寄りが,住み慣れた土地で安心して生活して頂くためには,病院のスタッフが患者さんの自宅に出向くことが必要です。
 都会と過疎地帯では違ってくるのでしょうが,遠賀病院はバスや電車の便が悪く,通院出来ない患者さんが多いので,在宅医療により力を入れないといけません。
久保
原先生のところは,こういう超高齢社会になるのを見越して,さまざまな病床を作ってこられたのでしょうか。
はい,そのとおりです。日本では50年ぐらい前からだんだんと老人の病気が増えてまいりました。そこで,お年寄りを診ていこうということでいろいろと工夫してまいりました。
久保
疾病構造が非常に変化してきて,現在,3つの大きな病気が増えています。1つ目は,いわゆる生活習慣病であり,糖尿病,肥満,がんや心疾患などです。2つ目は老人性疾患であり,肺や気管支の病気や認知症といったもの。3つ目がストレス関連疾患です。今大きな問題になっているのは認知症です。
 特に高齢者疾患とか生活習慣病というのは,その人の生活習慣の在り方が非常に影響を及ぽすわけです。そういう面で,キュアからケアというところに移っているのではないかと思いますけど,原先生,いかがでしょうか。
昔はいわゆるキュア,救うということが第一で,病気を治せば元気になれるということでしたが,今は生活習慣病自体がたくさんの病因を持っています。頭の認知症から,目の白内障や緑内障,口の中,肩,首,足の先まで,それこそ内臓全部を治すことは不可能だと思います。いずれ年をとってくると,たくさんの病気を持って苦しみますが,我々はそれを対症的に治療しているだけなので,根本的に治療する方法を考えないといけないのではないでしょうか。

健康寿命

久保
今,日本人の平均寿命は,平成29年度の統計では男性が81歳,女性が87歳。これは世界の中で,男性は3位,女性は2位。そして,健康寿命についていえば,男性が72歳,女性が81歳で,平均寿命と健康寿命の差が結構大きい。世界でも有数の長寿国ではあるけど,健康寿命をいかに伸ばすかということが大事になります。
平均寿命だけでいいますと,1位は香港ですが,日本みたいに1億人以上いて87歳というのは世界に類がない。健康寿命もそれなりに長いのですが,やはり平均寿命が長いものですから,認知症とか寝たきり期間が非常に長いのが日本の特徴ということで,これをどうするかというのが一番の間題ではないかと思います。
久保
これに関して,杉町先生,いかがでしょうか。
杉町
平均寿命ではなく健康寿命を延ばすことが大切です。そのためには,自分の健康は自分で守るということが重要です。定期的には健康診断を受けて,がん,高血圧,高脂血症,糖尿病などの成人病のチェックをお勧めいたします。
 また,年を取っても自宅に引きこもらずに,社会との繋がりを持つことも大切です。

健康の秘けつ

久保
お二人の先生は,健康寿命,平均寿命を越した年齢になっても本当に健康であり,一線で働いておられます。どういうことに心がけておられるかについて,まず杉町先生はいかがでしょうか。
杉町
私は80歳になりましたが,足や手の筋肉の衰えを少しでも遅らせたいと思って,数年前から,毎日,病院のリハ室で自転車漕ぎを20分間,それに自宅でスクワットを数百回から1,000回くらいやっています。
久保
年齢がいくと,疲れは翌日ではなくて,2日後ぐらいに出てくると言われますが,先生はいかがでしょうか。
杉町
昼間に良く動くと,夜はよく眠れますし,疲れが残ることは全くありません。夜更かしを避けて,睡眠時間を十分に取るように心掛けています。
久保
原先生も非常にお元気ですけど,先生の健康のコツは。
私は朝が早くて,駅まで10分歩いて階段を上って5時23分のJRに乗りまして,そこから病院まである程度歩きます。そうすると,1日に1万歩ほど歩ける。そのぐらいは毎日歩いて,階段は1,000段ぐらい上ったり下りたりします。1階30段ぐらいで,1日20階ぐらい歩きますから,600から800段ぐらい。多いときは30階ぐらい歩きます。
杉町
階段を歩くのは大変ですよね。
久保
膝は悪くなりませんか。
いいえ,全くどうもない。体重を増やさないようにするというのも一つですね。
杉町
そうですね,太り過ぎるのは良くないですね。
久保
運動と,もう一つは食事がありますよね。それに関してはいかがですか。
食事は満足に食べたら絶対だめです。だから,満足の手前でやめなさいということで,昔から腹八分目と言われている。日野原先生は,ステーキが出てきたら必ず半分に切り分けて,脂の多いほうを残して半分だけ食べる。私は昔の人間ですから,残すのはだめだと思っていたけど,日野原先生から,最初から半分に切っておけばいいと教わりました。
久保
栄養のことに関して,私は「腹八分目に医者要らず,腹六分目に薬なし」と昔から言われていますが食事と免疫,寿命についての研究をしました。自己免疫病 ─SLEを発症したネズミの食事量を6割にすることによって,免疫機能は保持されて寿命が2倍に伸び,それに加えて脂肪を減らすことによって病気の発症がおくれて寿命が3倍に伸びる。それをヒトに当てはめてた場合,2倍まで伸びないとは思いますが,少なくとも食事のコントロールは健康にとって重要です。
満足に食べると食べ過ぎで苦しくなる。食事の量が少ないと消化器は健全です。
久保
ある程度のストレス状態,刺激というのは大事です。運動にしても食事にしても同じだろうと思います。
 食事については,十分満足するまで食べると良くないということが言えると思います。ただ,わかっちゃいるけどやめられないので,それを実行できるかというところですが,そこに関していかがでしょうか。
杉町
私は,おなかがすいて我慢するのが体に良いように思います。朝は,原先生お勧めの,野菜とパンを食べて牛乳を飲んでいくのですが,昼は抜いて2食です。
久保
しかし,先生はそんなに痩せておられないですね。
杉町
体重は若い時からずっと65㎏を維持しています。昼を食べると体重が増えますから,朝晩ぐらいがちょうどいいですね。
何かをきっかけに目覚めたのですか。
杉町
太ると体が重くなり,おなかが出るので,おなかが出ないように体重を65㎏に維持しています。
久保
原先生はいかがですか。
体重は何回も量ったほうがいい。私は1日3回体重を量ります。朝起きたときが一番少ない。昼,どこかで量るとちょっと増えています。夜が一番増えています。それが朝ちゃんともとに戻っている。このサイクルです。
杉町
学会で2~3泊し,外食をずっと続けると体重が1~2㎏増えるので,帰った後が大変です。
「元気100倶楽部」設立記念出版
定価:1,500円(税込み)
発行所:学校法人 原学園出版部
TEL 092-691-031

グラフ化日記

久保
普通は,朝と夕方では大体1~1.5㎏は違います。夜寝ている間に体重はまた戻る。ただ,食事のコントロールをやれるかというのは,意思力の間題もありますけど,グラフ化体重日記のように,今,自分が何㎏かが目に見える形で示されると,モチベーションが上がると思います。
そのとおりですね。それを見ないとわからない。
久保
杉町先生も体重を測っておられるわけですね。
杉町
10年前からグラフを描いています。体重だけではなくて,血液検査のデータもとっています。
久保
どんなデータですか。
杉町
血圧,コレステロール,肝機能,血糖などです。
久保
高くないけど,あえてとっておられるわけですか。
杉町
ええ,血圧は110とか120。また,年に何回か病院で肝機能などを測りますので,これらのデータを入れて,グラフに描いています。
久保
それはパソコンに入れておられるのですか。
杉町
いえ,昔からグラフ用紙に折れ線グラフを描いています。
すごいですね。体型があまり変わらないというのが一番です。
杉町
20年前の背広をまだ着てます。
久保
それは素晴らしいですね。体にもいいし,経済的にもいいですね。
杉町
50年前に結婚したとき,家内の実家からブレザーを作っていただいたのですが,冬になるとそれを今もまだ着ています。
久保
痩せてやつれた感じではなくて,ずっと維持されるというのがすごいですね。
杉町
私は,いやしいので,ホテルで出された食事は全部食べるのですが,食べた後が大変です。
久保
久山町でも,糖尿病の人たちに「ひさやま元気予報」を作っていこうと計画していますが,グラフ化したり,見える形でするというのがモチベーションを高めます。もちろん意思の力というのも大事でしょうけど,そういうグラフ化するなどしてモチベーションを維持し,ずっと続けるということが大事ですね。そして実際に体調がい いということで,気持ちも前向きになって,仕事を続けられるということでしょうか。
杉町
やっぱり自分の体調が良くないとよい仕事はできません。原先生は,あれだけ大きな病院をやっていくのは,毎日大変だろうと思います。
朝早く行って,昼ごろには済んでいますから。

生き方

久保
そういう元気のコツと同様に,生き方としてはどういうことを心がけておられますか。
杉町
病院の現場では,毎日いろんなことが起こりますが,一つ一つの出来事に対して,逃げることなく誠意をもって丁寧に対応し,出来たらその日の内に終わらせて家に持ち帰らないようにしています。
 病院を一歩でると,病院のことはすべて忘れて,孫の事,タ食の事,旅行の事,週末の事,趣味の事など楽しい事だけを考えるようにしています。
久保
明日のことは憂えず,昨日のことは悔やまず,今日を大切にと。原先生はいかがですか。
それは杉町先生の言うとおりで,その1日で全部終わらせて後に残さない。そして,毎日楽しく過ごすのが一番です。
 また,新しいことを考えてするというのが最もいい。久保総長が始められた「九州大学CEOクラブ」というのはいいですね。学生が新しいことを始めるのを応援しようということですから。我々はこういうのが非常に楽しいですね。今までになかったようなこと,新しいことをする。

CEOクラブ

杉町
CEOクラブとはどのようなクラブですか?
久保
CEOクラブというのは,大学と九大OBの企業経営者との連携を密にして,共同研究,産学連携や新たな事業を起こしたりすることに支援を行うための集まりです。原先生にはそのクラブの世話人をしていただいています。
既に幾つかありまして,うちの屋上に電気を起こすための風車が回っているのですが, それはこちらの学生が作ったものです。もう一つは,病理標本をAIで判断して,それだけでは承認が得られないので,病理医のもとにネットで送るわけです。それでOKが出たら,これでいいと。
久保
今,九大医学部の学生がそういうベンチャー企業を立ち上げてやっています。
杉町
学生もすごいですね。我々のときには考えも及ばなかったけど。
 ところで,久保先生,先日,九大の移転が完了したということですが,九大がどうなっているのか教えていただけますか。

九大新伊都キャンパスの完成

伊都キャンパス
久保
9月29日に九州大学の伊都キャンパスの移転完了記念式典が開かれました。約1,000名の方々をお呼びしていろいろなセレモニーをやりました。平成17年から移転が始まりまして,13年かけて完了しました。このキャンパスには,箱崎キャンパス,六本松キャンパス,原町農場などが移ってきました。馬出地区の病院キャンパス,大橋キャンパス,筑紫キャンパスなどはそのままです。
 伊都キャンパスは,東西3㎞,南北2.5㎞,272haで,ヤフオクドーム40個分です。そして,西の農学系建物から東の人文社会学系建物まで約2㎞を雨に濡れずにずっと行ける。直径200mで340万冊収容の中央図書館などの新しい建物ができ,研究・教育環境はりっぱに整いました。国内外からいろんな人たちが来られ,びっくりするほど素晴らしい広大なキャンパスであると言われています。古代製鉄とか前方後円墳といった歴史的遺跡もあります。自然との共生ということで,動物,樹木や花などはできるだけ保存している環境になっています。
杉町
伊都キャンパスには,学生や教職員が何人ぐらい集まることになるのですか。
久保
学生,教職員を合わせて2万人ぐらいの人たちがそこで生活することになっています。一つの街みたいになりました。
杉町
留学生も結構いるのでしょう。
久保
はい。現在,短期間の留学生を合わせて90ヵ国から2,300~2,800人います。85%はアジアの国々からの留学生で,大学院生が多いです。秋の卒業式,入学式も行っています。
泊まれるような家とかゲストハウスもありますね。
久保
約1,000人が入れるドミトリーがあります。また,2年後には留学生のための宿舎ができることになっています。
杉町
国立大学ですから基本的には国のお金でできたのでしょうけど,個人からも大きな寄附をいただいたという話を聞きましが……。
久保
これは椎木講堂といいますが,椎木正和さんという方から寄附していただいて,約50億円の建物ができました。 3,000人入れるので,ここで入学式・卒業式が開かれます。また,学会が開かれたり,クラブ活動などの行事にも利用されています。そのほか市民の人たちにも使ってほしいという椎木様からの要望で,コンサートや講演など非常に有効に活用されています。入学式・卒業式ができる建物がなかったものですから,これは本当にありがたいです。
 また,ことしの5月には日本ジョナサン・チョイ文化館ができました。これは,香港の実業家であるジョナサン・チョイさんから寄附していただきました。九大とも関係のある孫文を記念する会館です。
 そういう寄附文化が随分出てきまして,ことしも中本博雄さんから,自分は経済的な理由で九大に行けなかったので,そういう理由で進学できない人を援助したいということで,5億円を寄附していただきました。奨学金や海外留学ができるようなシステムを作りました。
それから,京セラのビルもありましたね。
久保
これは稲盛財団から寄附していただいて,約5年前に稲盛財団記念館を作っています。そういう建物には名前を掲げます。昨年は,ボイラー関係の会社から寄附していただき,温水プールを作りました。
 私の役割としては,学生の修学支援,教育・研究環境の整備のために同窓会や,それ以外のいろいろなところから寄附をいただくというのが一つの大きな仕事でもあるわけです。大学も,今は運営ではなくて,経営することです。運営というのは国などから与えられたお金を上手に使うことですが,経営というのは自分自身で責任を持って収入を増やさないといけないというのがあって,節減,増収に努力しております。

大学経営

杉町
アメリカの大学は個人から随分寄附していただいていますよね。日本もだんだんそうなってくるといいですね。
久保
日本の場合,国立大学は国が全部援助しているのだろうと思われていますが,大学の運営交付金は毎年削減されている状態です。九州大学の予算のうち国から来るお金は3分の1です。残りは,3分の1が病院収入,3分の1が授業料収入や共同研究,受託研究,そしていろんな寄附金ということになります。
 九州大学では,1回1万円寄附すれば5年間有効の一般会員と毎年寄附する継続会員をあわせて約1万人になりました。毎年1億円を学生の修学やクラブ活動などに支援しています。税制上の控除やさまざまな会員特典などがあります。継続会員は現在1,000人になりました。一人年間3千円以上の継続会員になっていただくことをいろいろな場所でお願いしています。アメリカなどでは寄附が盛んですが,日本でも寄附を増やしていくことが必要です。
杉町
九大も随分立派になりますね。
久保
現代社会はグローバル化し,世界を相手にした競争でもあります。九州大学を世界最高水準の教育・研究機関にするためには,各部局の皆さん一人一人が頑張ってもらうことが重要です。今回の伊都キャンパス完成でハード面は整いました。研究,教育,診療や産学官連携を充実し,発展するために各部局の皆さんと力を合わせてやっていきたいと思っています。
九州大学が発展していくことは大変嬉しいことですが,各学部間のセクショナリズムがあるでしょう。
久保
今は大学のガバナンスの仕組みが随分変わってきました。部局長や教授の任命の最終決定は総長になっています。辞令交付についても私が直接毎月10名前後の人たちに発令しております。また,毎月1回は部局長会議や教育研究評議会があります。このような場を通して部局長の方々とは大学の方針や現状について話し合いをしています。しかし,全学の構成員の先生方にはネットを通じて発信したりしていますが,情報が伝わっていない現状があります。そこで,私は昨年から全部局を回っていきまして,部局の抱えている課題,そして執行部に対する要望を聞いております。部局の壁というのは随分少なくなってきたと思います。
 病院地区の先生方はキャンパスが離れているので,伊都キャンパスに来るチャンスがなかなかないかと思います。ぜひ,新しい伊都キャンパスに来ていただいて,九州大学が本当に変わってきているというのを実感してもらいたいと思います。昨年6月に,起業部というのができまして,学生もイノベーションを起こすようなクラブ活動をどんどんやっている状況です。
杉町
実は,『臨林と研究』では,昨年の6月号に,大阪大学,北海道大学から見た九州大学医学部ということで,北海道大学の循環器内科から九大に移られた筒井先生,それから大阪大学の消化器外科教授の森先生にお話を伺う機会がありました。こ の中で,大阪大学とか北海道大学では医学部の改革が随分進んでいるという話がありました。九大もこうなるといいなと密かに思っていたところ,森先生が10月から消化器総合外科の前原教授の後任になられたとお聞きし,大変嬉しく思います。定年まで2年半しかないそうで,時間的には短いのですが,森先生には九大の外科を,旧ー外科の中村教授とー緒になって改革していただくことを期待しています。
 というのは,九大の2つの外科では,両方で食道の手術をやる,胃もやる,大腸もやる, 肝・胆・膵もやる,乳腺もやる,肺癌もやる,両方が同じことを やっています。これでは世界と 競争で勝てるはずがありません。九大の外科が早く組織を改めて,九大が10年後20年後あるいは10年後に立派な大学になっていることを願っています。
久保
ちょうど10月1日に森先生に辞令交付しました。森先生は,大阪大学で外科学を大講座制にして各臓器別に再編した実績を持っておられます。それを踏まえて,あと2年半ですけど一生懸命やりたいと話しておられましたので,外科の再編を中村 教授と協力して進めていっていただけるだろうと思います。
杉町
外野席から楽しみにして待っています。
本当に良かったですね。
久保
本日はお二人の先生に,地域医療の現状や抱えている間題点,今後の展望などについて,また個人的には,お二人の健康増進のコツや日常生活で心がけておられることなど,貴重なお話を伺いました。
 本日はどうもありがとうございました。

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